ワシントンD.C.司法長官事務所

刑事裁判プロセスの合理化を実現

課題

OAG (Office of the Attorney General: 司法長官事務所)は、裁判前後のプロセスにおける証拠の確認などの基本的なタスクにおいて、弁護士やスタッフのサポート業務に問題を抱えていました。従来のオンプレミスでのファイル共有やSharePointは、弁護士が必要とする統合機能をサポートしていませんでした。また、内部および外部とコラボレーションをするにはあまりにも扱いにくく、IT管理が困難でした。

 

ソリューション

Boxは、OAGが刑事裁判中に裁判所記録の一部として証拠を確認および共有するための中心的なハブとなります。Boxは、Office 365、Outlook、Adobe Signature、Abacus、Salesforceなどのベストオブブリードのテクノロジースタック全体で統一されたコンテンツレイヤーとして機能します。また、OAGは、Box Skillsを使用して、身体に装着した警察のカメラから証拠記録を作成するテストも行っています。

 

成果

弁護士やスタッフは、情報を検索する作業が軽減され、本来の仕事に集中できるようになったため、法律サービスの質が改善されました。また、生産性が向上し、ITへの負荷が減少しました。さらに、セキュリティとコンプライアンスのリスクも低減しました。 

犯罪と戦う未来のワシントンD.C.を描いた映画『マイノリティ・レポート』(原題: Minority Report) では、将来犯罪を犯しそうな人物を予測するために、人々の内面を深く掘り下げるサイキックテクノロジーを活用しています。実際にはD.C.にそのような刺激的な(問題も多い)サイキックソフトウェアは存在しません。しかし、クラウドの最先端のテクノロジーを活用することで刑事司法の発展に取り組んでいる個別のチームがあります。
ワシントンD.C.の法律弁護を担当するOAGは、地区の政府機関に法的助言を提供し、市民の利益を保護しています。OAGの目標は、国内で最も権威があり尊敬される公立法律事務所として機能することであり、OAGのリーダーは、その野心的なビジョンをサポートするために進歩的なテクノロジースタックを構築しています。OAGは、重要なコンテンツ内のパターンを識別するAIで強化されたテストケースに加え、400人の弁護士と200人のサポートスタッフのためにペーパーレスのデジタルワークプレイスを確立しました。Box、Office 365、DocuSignなどのツールを使用し、コラボレーションの強化、より流動的なプロセス、安全なモビリティをサポートしています。

OAGのCIOを務めるクリス・トンジェス(Chris Tonjes)氏は次のように述べています。「私の性格は、壊れているものを直すことに向いています。人々が仕事をしやすくなり、より良い生活を送れるように、私たちが速やかに行うべきことがいくつかあります。」トンジェス氏はOAGでデジタル革命をリードしています。クラウドのファイルを利用した基本的な共同作業から最先端のAIまで、米国で最も知名度の高い市民政府の1つで、司法を適切に提供する責任を負っています。

 

「私たちが従事しているすべての潜在的なプロジェクトを見渡し、それらによって人々の生活がどれだけ楽になるかを精査してランク付けしています。」

ワシントンD.C.司法長官事務所 CIO クリス・トンジェス氏

 

さらなるAIの活用

AIがかつてないほど注目され、AIに対する期待が大きくなればなるほど、多くの組織では予算やリソースが十分に確保できず、AIの活用が困難になるおそれがあります。トンジェス氏は、彼の責務として、テクノロジーの全体像についてのビジョンを組織に示す必要がありますが、同様に重要なことは、細部に注意を払い、適切なペースで物事を進めることです。

OAGが現在実施しているAIイニシアチブには、AIを使用して大量のドキュメントを選別し、特定のパターンを探すことが含まれています。例えば、組織独自のカスタムAIを使用してベンダーからの請求書の重複を検出することで、同一の製品やサービスに対して誤って複数回請求することを防止します。従来は手作業で処理していたこのような手間のかかるプロセスは、現在では大幅に自動化されています。

また、OAGはBox Skillsを使用して、身体に装着した警察のカメラから証拠記録を作成するテストも行っています。これによって、検察官は裁判中に映像証拠を簡単に確認できるようになります。トンジェス氏は、最終的にはより洗練されたAIの取り組みにBox Skillsを使用したいと考えています。一例として、複数の映像から特定の人物(目撃者や繰り返し登場する容疑者など)を認識するパターンを開発することなどが考えられています。「これらの関連性を実際に見られることは非常に重要です。」とトンジェス氏は言います。

Box

OAGは、Box Skillsの導入以外にも、市民により良いサービスを提供するために取り組んでいます。2019年には、児童支援や入居問題などの日常的な問題に関する質問に答える、AIを搭載したチャットボットの採用を計画しています。チャットボットは、書類の提出方法を説明し、ファイルのアップロードも支援します。OAGは、刑事司法に加え、日常的な問題についても取り組み、市民の生活向上のためにAIを活用しています。  

 

「Boxは、イノベーションを推進する優れたプラットフォームです。」

ワシントンD.C.司法長官事務所 CIO クリス・トンジェス氏

セキュアな集約型コンテンツプラットフォーム

OAGのAIイニシアチブには、コンテンツの検索、共有、管理、セキュリティ保護、コラボレーションを容易にする、包括的なテクノロジースタックが不可欠です。Boxへの移行が促進されたのは、既存のオンプレミスサーバーの容量を使い果たしていたという、単純な理由からでした。トンジェス氏がOAGに着任した当時は、SharePointインスタンスが設定されていました。しかし、職員がコンテンツを活用し、効果的にコラボレーションを行うには十分ではないことに気づきました。「ワシントンD.C.でSharePointを実装しようとする試みは数多くありましたが、そのほとんどが不評で失敗に終わりました。」とトンジェス氏は言います。「Boxの方がはるかに優れており、学習しやすいのは明らかです。」 

Boxは、コンテンツ用の無制限のストレージ領域と、ガバナンスのための洗練されたアクセス管理および監査証跡機能を提供します。例えば、刑事裁判で共有された証拠をBoxにアップロードすることで、裁判記録の一部として共有することができます。これにより、閲覧許可を得た人は裁判前、裁判中、裁判後のいつでもその証拠にアクセスできます。Boxは、高度なコラボレーション機能を持つペーパーレスプロセスを可能にしますが、OAGが実施しているように、必要に応じて厳しい規制を設けることもできます。 

 

「ドキュメントの共有には、確実なセキュリティが保たれることが重要です。それこそが未来の職場のあるべき姿です。」 

 ワシントンD.C.司法長官事務所 CIO クリス・トンジェス氏

Box

統合がもたらす可能性

トンジェス氏は、コンテンツ管理を万能な戦略とは考えていません。彼にとって、Boxがもたらす最大のメリット(およびSharePointとの差別化要因)は、他のアプリケーションとうまく統合できることです。「統合をSharePointで行うのは簡単ではありません。Boxであれば、カスタムAPIを使用する能力が向上し、SharePointを使用する場合よりもIT部門の負荷が劇的に減少します。」 

OAGでは、多くの職員がOffice 365を使用していますが、それらのファイルの共有や編集も簡単にBoxで行えます。さらに、Adobe Signature、Salesforce、Abacusなどと統合することで、セキュアで堅牢なクラウドコンテンツプラットフォームを構築し、流動的で使い慣れたプロセスを実現することができます。また、OAGのほとんどの部門がOutlookを使用しているため、BoxとOutlookの緊密な統合は大きなメリットをもたらしています。

幸いなことに、『マイノリティ・レポート』のような世界が現実になることはあり得ないでしょう。しかし、AIやクラウドコンテンツ管理を日常業務の改善に活用することで、OAGのような政府機関は市民により良いサービスを提供することができ、正義の追求につながります。

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